34歳女性。会社員。
主訴)右手首が痛い。
原因)20年前の中学生の時に手首を骨折してから、寒くなったり、季節の変わり目になると痛み出現。ここ最近特にひどいので来院。
症状)掌側の橈骨手根間関節に圧痛++
腫れ・内出血・熱感−
掌背屈・橈尺屈に制限あり
回内・回外に制限なし
腕立て伏せをすると痛くてできないことがある
あなたの診断は?
最近で外傷の既往はなく圧痛は骨ではなく手首の関節にあったので、骨折や捻挫といった感じではないかなぁ。
明らかにROMの制限があるが「これは20年前の骨折からずっと」とのことで、関節面にROMを障害する何かあるんだろうなぁという感じでした。
レントゲン写真 ↓
舟状骨が変な形。。本人は20年前の骨折のことでどこの骨折だったのかも覚えていないとのことでしたが、おそらく舟状骨骨折だったのであろう。そして無腐性壊死を起こしてこんな感じに固まってしまったのだと思われます。
無腐性壊死
<舟状骨無腐性壊死>
舟状骨は血管の数が少ないためにこの骨が骨折を起こしてしまうとさらに血行不良に陥りやすい。そのためこの骨折は癒合に時間がかかり、さらにきちんと固定維持をしておかないと骨が壊死してしまうことがある。
というもの。
私も以前この骨折を見逃して無腐性壊死になり、大学病院での手術になってしまった患者さんがいたので、人ごとではないなぁと改めて感じました。
この患者さんにも一応手術の選択肢も説明しました。が、本人的には季節の変わり目などしか痛くないのでこのままでいいかなぁ。とのこと。
関節の運動と筋膜へのアプローチ、痛みが強い時はサポーターなどで対応するようにアドバイスしました。