70代女性。この湿疹はいったい??
そうです。帯状疱疹です。
帯状疱疹と言うと軽く見られがちですが、この患者さんは生死をさまよいました。。
この方は徐々に痩せてきて、最近食欲もないのよね~なんて言っていたのです。
その矢先に立ち上がれないくらいに衰弱してしまい、自分で電話をすることさえできずに、運よくたまたまお姉さんが家を訪ねてくれたおかげで救急車で病院に行くことができました。もし誰にも発見されなければ。。と言う状況だったそうです。
そして診断名は帯状疱疹。
とのこと。
衰弱して免疫力が落ちて帯状疱疹になったんだろうなぁって。。
その衰弱した原因が分からないのですが。。
とりあえず今回は帯状疱疹についてです。
帯状疱疹
概要・特徴
- 以前に水ぼうそうに罹ったことがある人は、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節という所に消滅せずに潜んでおり、ストレス・過労・加齢などが引き金になり再び活動を始め、神経を伝わって症状を起こす病気。
- 60歳代を中心に50~70歳代に多くみられる。
- 通常は生涯1度しか発症せず、免疫が低下している患者さんを除くと再発することは稀です。
- 体の右半身か左半身のどちらかにしか出現しません。(鑑別診断に役立つ)
症状
チクチク・ピリピリした痛みやかゆみ(発熱する人もいる)を感じた後に、発疹が出てきて水ぶくれに。
↓
自然に破けてかさぶたになり、その後剥がれ落ちて治癒。
(発症から10日~2週間くらいで治癒)
出現する場所
- 胸~背中 31.2%
- 腹~背中 19.6%
- 頭~顔面 17.6%
- 首~腕 14.5%
- 下半身 17.1%
胸・腹~背中にかけてで50%以上です。
確かに日々の臨床でもここが圧倒的に多い気がします。
ただ、神経の走行に沿って発疹が出現するので、つまりはどこにでも起こります。
しかし体の右半身か左半身のどちらかにしか出現しません。
ただ顔面に出現すると、顔面神経麻痺・髄膜炎・脳炎・結膜炎・角膜炎などになる恐れが高まるため、より注意が必要です。
原因
疲れやストレスにより免疫力が低下している。または加齢。
他の病気を患っていたり、手術の後で免疫力が低下している。
治療
- 抗ウイルス薬
- 痛みが強いなら神経ブロック注射
- とにかく早期治療がカギ(発症後1か月以内でないと帯状疱疹後神経痛になり一生痛みと付き合っていくことになることも。)
- 安静にして疲れ・ストレスを取り除く
今回の患者さんは、後頭部から耳、頬、あごにかけて赤い湿疹の跡と、かさぶたになっているところがありました。
上記にも書きましたが、顔面に出現すると、顔面神経麻痺・髄膜炎・脳炎・結膜炎・角膜炎などになる恐れがあるので早めに病院に行くようにしてください。
ある患者さんのお知り合いは顔面に帯状疱疹が出て耳が聞こえなくなったそうです。原因不明のピリピリした感じの後に発疹ができているようなら要注意です。
今回の患者さんの自覚症状は、まずあごから頬の辺りに、チクチクした感じが出てきて、そのうち起きることもできなくなって。。
そして衰弱がひどかったために2週間弱入院して、抗ウイルス薬と点滴をして退院しました。
衰弱した原因が気になりますがとりあえず帯状疱疹の症状は落ち着いたとのことです。